79 相手とズレて合わない原因 パート2
前章で相手の演奏の予測が必要と述べましたが、
今回はその予測に必要な
音楽性(どう演奏したいか)の共有
いわゆるサッカーで言うところのゴールイメージ
をどう共有するのか?
についてお話します。
まず一つ質問しますが、技術的に楽勝な、右メロディーと、
左伴奏の曲を弾いていると仮定して、
その譜面に突然ルバートやリットが書き込まれたと想像してください。
その新しく書く込まれた状態で、もう一度一発勝負で、弾いた時、左右の手で、
ルバートやリットの度合いがズレることは有るでしょうか?
おそらくズレる事無く、一発で合うと思います。
では何故一発で左右の手はズレないのか?
答えは 同じ人間が弾いているから
なんだ当たり前じゃんと思ったかと思いますが、
実はこれがとても大事な気付きとなります。
改めて、さっきと同じ譜面を右手が自分で、
左手伴奏を初対面の別の人で、
ルバートやリットをつけて演奏してくださいと、言われた時、
息の合った、演奏が一発でできるかどうか?
おそらく一発では無理だと誰しも思うはずです。
ではそれは何故か?
答えは 違う人間同士で弾くから、、、ファイナルアンサー?(チョット古い、、、)
、、、、ざーんねん不正解
エッと思ったあなた、実はここがとても大事なのです。
違う人間が弾くから、合わない、、、、では無いのです。
実際問題、よく気の知れた間柄だと、一発で合うことの方が多いです。
ちなみに私の場合ですと、大体合わせの初日、一発目で、
はいはいこんな感じねー弾き終え
小さくズレたところは、一回目の演奏を基に、
双方こう演奏したいのかーと、寄せて、大筋完成です。
また、大きくズレたところは、どっちで行くー?
と話しながら試して、大体同じく二回めで大筋完了。
そこから先は、元々合っているけどやりたい、超細かい、
微調整に入っていく感じです。
周りを見渡しても、大体プロは、こんな感じではないかと予想されます。
逆に5回くらい合わせても、微調整に入れず、
合わないとコンビ解散
さようならーみたいな話も聞きます。
きびしいと思うかもしれませんが、ソリストにとっては、
命を預ける覚悟で、ピアノ伴奏を頼むわけですから、
何時までたっても、先に進めず、
一緒に撃沈するのが濃厚とわかれば、
当然の選択だと思います。
プロはキビシー、、、
経験上、学生さんは学生のうちに、
沢山伴奏は、しておいた方がいいと思います。
音大卒業してからですと、こちらの伴奏うまくなるまで、ソリストに待ってもらうわけには
行きませんからね、双方学生のうちに、是非いろいろ試してみるといいと思います。
話が脱線しましたが戻します。
したがって正解は
違う人間が弾くから、合わないのではなく
初対面で相手の音楽性を知らない、あるいは
相手がどんなルバートやリットを、する人かわからないので一発では合わない。
これが正解となります。
極端な話、相手も自分の分身で、
同じ音楽性を持っている人間なら、
ルバートをかけようがアゴーギグしようが、何しようが、合うのです。
逆に言えば、この音楽性(どう演奏したいか)がわからないままでは、
いくらメトロノームをかけようが、アインザッツをしようが合わない事となります。
前章のよく聞いてを実践してもだめです、
なぜなら次にどう演奏したい人なのか、わからないので
予測も立てられないのです。
当然ズレます。
ですから、もしズレてしまったとしたら、そこは自分と相手の、
音楽性のずれが、生じていると認識し、
相手がどう演奏したがっているのか、探る作業や、自分がどう演奏したいのか
伝える作業が、最も大事な、合わせ作業と言うことになります。
いわゆる共通の決め事を作るわけです、これこそが音楽性の共有
サッカーで言えばゴールイメージの共有となります。
そして、これが双方出来て初めて、次の予測イメージが立てられるのです。
こうして考えると、いかに「相手の音をよく聞きなさい」が
言葉足らずか、わかると思います。
ただレッスン中、演奏を聞いている最中にとっさの、
指示とすれば、「よく聞いて」
くらいしか間に合わない、と言うことも多々ありますから、
気持ちは良くわかりますけどね。
最後に合わせの中での例外、特に生徒さん同士で多い
どう演奏するか、自分の中にイメージが無い場合
あるいは毎回演奏のもって行き方が、変わる場合どうするか?
、、、無理です
このような場合は、二人揃ってレッスンに行って
先生に、音楽の方向性(共通のイメージ)を、決めてもらいましょう。
次章ではいよいよ、最後の現状把握不足によるズレについて、
いわゆる、文字通りのよく聞いて、についてお話しようと思います。
80 相手とズレて合わない原因 パート3
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